「ニッカウヰスキー」の創業者・竹鶴政孝氏は、スコットランドでウイスキーの蒸溜技術を学び、生涯をウイスキーづくりにかけた「日本のウイスキーの父」と言われている人物。NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」で玉山鉄二さんが演じた主人公のモデルでもあります。
その竹鶴氏が、ウイスキー造りに適した場所を探し、スコットランドに似た気候や豊かな自然に恵まれた余市に1934年に蒸溜所を開きました。その「ニッカウヰスキー余市蒸溜所」に2021年3月に行ってきました。
蒸溜所は一般に公開しており、実際に稼働している製造工場で大麦の乾燥、蒸溜、製樽、貯蔵までウイスキーが生まれる工程を見ることができます。蒸溜所だけでなく、敷地内にある竹鶴氏とスコットランド人のリタ夫人が暮らした住居「リタハウス」やミュージアム(2021年10月にリニューアル)なども公開されているほか、レストランやショップも併設。朝ドラで話題になったことから、今では人気の観光スポットになっています。
約55分のガイド付きツアー(要予約、無料)では、ウイスキー製造の工程や歴史をわかりやすく学べ、後半には無料の試飲タイムも用意されています(ノンアルコールのドリンクもあり)。
さっそくガイドツアーに参加してみました。ウイスキーがどうやってできるかが、しっかりわかりました!
見学予約は公式サイトから行えます。参加費は無料。また、お昼時のランチ付きのツアー(有料)も実施されています。
(新型コロナウイルス流行の影響で、見学は中止となる可能性があります。公式サイトでご確認ください)
ウイスキーの試飲も大人気。見学に含まれる無料試飲のほか、有料の「シングルモルト余市キーモルトテイスティングセミナー」などもありますので、お好きな方はぜひ飲み比べてみてください(ただし、車で見学に向かう方は、お酒は厳禁!)。お酒が飲めなくても大丈夫。会社設立時の商品でもあった(後述)リンゴジュースもぜひ飲んでみてください。
無料試飲の「シングルモルト余市」。
下の画像は有料試飲体験です。お酒好きならたまりません!
蒸留所内のレストラン「樽」では北海道産の食材を使った食事が楽しめます。
どんなメニューかといいますと……これがかなり本格的。
写真を見ただけでおいしさがわかるローストビーフ(写真左)や、ウイスキーと赤ワインのしゃぶしゃぶ(写真右)をはじめ、こんなに食べるのかっていうくらいオーダーしちゃいました(もちろん完食!)
レストランのメニューは動画で紹介していますので、ぜひ目で味わってみてください。
また、余市蒸溜所内の10の建造物が、2021年11月に国の重要文化財に登録されるなど、旧所名跡好きも大満足間違いなしのおすすめ観光スポットなのです!
JR余市駅からは歩いて約2~3分、札幌市内から車で約1時間。詳しいアクセス方法は公式サイトで確認できます。
さて、余市蒸留所を訪れる前に知っておきたい「ウンチク」を2つほどご紹介しましょう。
社名の「ニッカ」ってどこから来たんでしょうか。竹鶴氏の名前や蒸留所の地名でもなく不思議ですよね。そもそも日本語?
実は1934年、竹鶴氏が余市に設立した会社は「大日本果汁株式会社」でした。ウイスキーは製造開始から受精を経て出荷するまでに数年かかります。そのため、竹鶴氏は、会社設立から数年は、余市の特産品でもある「りんご」でジュースを作ろうと考えました。その製品名が「日果林檎ジュース」。「大日本果汁」を略して「日果(ニッカ)」だったのでした。
1940年、大日本果汁株式会社は、ウイスキーの出荷を開始しますが、その際、リンゴジュースの商品名から名前をとり、「ニッカウヰスキー」をブランド名にしました。1952年には、社名を「ニッカウヰスキー株式会社」に変更します(参考:アサヒグループホールディングス「ニッカウヰスキー」ページ)
もうひとつ社名の気になる疑問、「ニッカウヰスキー」は、なぜ「ウヰスキー」なのでしょうか?
「ニッカウヰスキー公式 わしのツイスキー」によると、ニッカウヰスキーの「ヰ」は、井戸の「井」をもとにした表記だそう。自然を敬愛する竹鶴氏が、水を大切にする会社であり続けてほしいという思いを込めてこの字を使ったとか。
ウイスキーに対するこだわりが感じられるエピソードですよね。
ショップでは、ウイスキーや「KING of BLENDERS」記念グッズなども購入できるので、お土産にも困りません。
札幌や小樽を訪れた際には、是非余市まで足を延ばして、ひと味もふた味も違った観光を楽しんでみてはいかがでしょうか。
余市町黒川町7丁目6
見学時間:9時~15時50分(最終の見学ツアー開始は15:00)
休業日:12月25日~1月7日
見学費:無料
レストラン「樽」
定休日:木曜・金曜
営業時間:10:30~15:50(ラストオーダー 15:20)